時に、カレー専門店ではないお店で、驚くほど美味しいと思えるカレーに出会うことがあります
それは、洋食屋だったり、フレンチレストランであったり、うどん専門店であったり、昔ながらの定食屋であったりするわけですが・・・
平成も終わりに近づいた今、それが「ジャズ喫茶」である可能性は限りなく低いのではないかと思います
しかし、カレーの聖地・神保町交差点からあるいて５分ほど 小川町広場の目の前に、そんなカレーを提供しているお店があるのです
店名は『ジャズ オリンパス！』 ここはれっきとしたジャズ喫茶なのです
店内の壁面には3000枚ものジャズのアナログレコードが並び、1960年代に製造されたスピーカーシステム『ＯＬＹＭＰＵＳ』が臨場感あるサウンドを奏でています
一歩足を踏み入れただけで、空気・音・そしてビジュアルにおいて完全にコントロールされた空間がここにあることがわかります ほどよい緊張感に包まれた心地よい場所
内装はウッドを基調としたシンプルモダンなスタイルですが、黒電話やレトロなレコードのジャケット、ポスターなど、昭和の香りを随所に感じることができ、とても懐かしい気持ちになります
お店で評判のカレーライスをオーダーして待つこと３分、そのカレーが美しいスタッフさんによって運ばれてきました
【ジャズオリンパス！ 真紅のチキンカレー】
まず目に止まるのは、真っ赤なカレーソース トマトをベースにしたソースでしょうか 暗色をベースにした店内に一際ビビッドな輝きを放っています
ここまで美しいカレーにはなかなかお目にかかれません 夢中でシャッターを切っている自分に気が付きます
ソースの中央には大ぶりのチキンが２つ 湯気に含まれる鶏の匂いとカレーからしみでるスパイスとニンニクの香り 期待感に心拍数が上がります
スプーンを口に運んでまず感じるのは、タマネギの甘味とトマトの酸味 チキンのエキスが濃縮されてイノシン酸とグアニル酸のうまみ成分が強烈なフックとなって飛んできます
真っ赤なソースから想像していた辛みの刺激は全くといっていいほどありません スパイスはクミン・レッドペッパー・ブラックペッパーを感じるものの かなりマイルド
色付けにはパプリカパウダーを多く使っているようです ガーリックの強い旨みとクリーム系のコクがあいまって インパクトのある味覚を作り出しています
チキンはコラーゲンが染み出すような柔らかさで、噛みしめてゆっくり味わいつくしたいですね
食べるごとに食欲が倍化します
世界にはもう『カレーと自分の意識」しかありません
特質すべきはお米の炊き具合です このカレーにジャストフィットしているのです 新潟産の厳選されたコシヒカリ
輝くツヤと しっかりした粘り そして米の甘みが、この赤いソースにぴったりなのです 日本米に合う極上のインドカレーを食べている感覚ですね
辛みを抑えて 旨みとコクに特化したテイスト これは美味しい
気が付くとプレートは空になっていて ビル・エバンスの楽曲がかかっていることに気づきました まさに夢中になって食べられる一皿、と言えるでしょう
このカレーは、誰にでも食べやすく、愛される味 しかもマニアにも評価されるテイストです
ここのチキンカレーは「呼吸するのを忘れて食べ続けたくなる」ほどのインパクトがあります ぜひ多くの方に味わっていただきたいと思います
【お店の特徴】
ジャズオリンパス！ のオーナー 小松さんがお店をオープンしたのは2009年 昭和初期に創業したビジネスホテル「昇龍館」の１階部分がお店となっています
個人の邸宅ではないかと勘違いしてしまいそうな入口には、のぼりも看板もブラックボードもありません
わかる人だけ来てほしい 店構えからはそんな心意気を感じます 今ではすっかり評判のカレーは、スタッフには任せず 毎日マスターが丁寧に手作りしているそうです
『ここはジャズを楽しんでいただく場所だから カレーがメインであってはならないんで・・・』と謙遜するマスター
しかし、音と雰囲気に極限までこだわるマスターは、カレーにも並々ならない愛を注いでいるのです
今ではジャズのお客とカレー目当てのグルメファンの割合は７：３とのことですが、この比率は絶対に崩したくないそうです
ランチタイムには食事をしながら会話を楽しむことができますが、時間を過ぎると流れるジャズのボリュームがあがり、私語は厳禁となります
１４時になるとマスターは、ジョン・コルトレーンの「ジャイアントステップス」のレコードを回しはじめました
それは「カレーに対する思いを言葉にすると？」と聞いた私に対しての答えでした
圧倒的な音量で流れる 張り詰めた緊張感のあるテナー・サックス 目まぐるしく変わる旋律と卓越したテクニック
ジャズ界希代のプレイヤーがすぐ間近で演奏しているような錯覚に陥ります 張り詰める空気
「思わず呼吸が止まる」ような感覚 これは真紅のチキンカレーをいただいた感覚に似ていました
ここでは流れるジャズもカレーも、日常を超える力をたたえてファンの訪問を待っています
カレーファンの皆さん 極上の音とカレーを体験できる『ジャズオリンパス』 ぜひ訪問してみてくださいませ！
【ジャズオリンパス！ 店舗情報】
場所：東京都千代田区神田小川町3-24
交通：東京メトロ 新御茶ノ水駅歩５分 神保町駅６分
営業：11:45～16:00 19:00～23:00 土曜 13:00～17:00 日祝・第一第三土休
公式HP http://jazz-olympus.com
食べログ https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13094943/
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創年日日タイムズ 2022年5月号に記事掲載いただきました
タウンニュース 2022.5.6号に記事掲載いただきました
横須賀市講演会「地域あったかフォーラム」に出演（2022.2.12）
『OZmagazine カレーの町さんぽ』でカレー店を紹介しました（2021.8.11号）
「はまかぜ新聞」特集でご紹介いただきました（2021.7.2）
「ラジオ日本 SWEET！」カレー特集でラジオ出演（２回目です）（2021.4.9）
毎日新聞に掲載されました「カレー専門こども食堂」開設（2021.3.28）
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